第4回 「これ読んでちゃぶ台! 『アグネス仮面』」


ハイ、どーも、Xnです。「月に一回、何か書こう。」と、’02年7月9日に始めたこの企画「Column de Xn」ですが、諸事情が重なり、第2回と第3回との間が実に9ヶ月も開いてしまいました。しかも第3回は掲示板に投稿したものの再録だし。つー訳で、正式に書くのはこの第4回ということになりますが、これからは、なるべく何か書こうと思ってますんで、気長にお付き合い頂けると嬉しいです。

さて、今回は、私の大好きなマンガの中から、「アグネス仮面(ヒラマツ・ミノル著 小学館 ビッグコミックスピリッツ連載 @〜B巻以下続巻)」をご紹介します。

時は昭和51年、5年間に及ぶ海外武者修行より帰国したプロレスラー・山本仁吾は、その所属団体「大和プロレス」が1年前に既に潰れていたことを、タクシー運転手との会話において初めて知ります。師であるジャイアント安藤(既に故人)宅にて、安藤夫人により、ライバル団体「帝日プロレス」社長・マーベラス・虎嶋(2年前に引退し、現在は社長業に専念。アントン似。)によって仕掛けられた対抗戦によって大和プロレスは大敗し、看板を持っていかれたこと、自分が海外に修行に出されていたこと自体を忘れ去られていたこと(笑)、そして、自分が「最後の大和プロレスの生き残り」であることを聞かされ、そのままの勢いで(何か釈然としないまま)帝日プロレスへ看板を取り戻すための道場破りに行かされます。そこで、看板の譲渡とともに帝日に移籍させられたかつての先輩・パグ阿久津(藤原組長似)に出会い、マーベラス・虎嶋に「大和のレスラーであること」を隠された上で紹介されるのですが、虎嶋は安藤夫人からの電話ですでに「大和の山本というレスラーが道場破りに来ること」を知っており(笑)、驚く仁吾に対しこう尋ねます。
「ブラジルは好きですか?」
その後も仁吾にとっては珍妙な問答が続き、
「オレの道場破りを受ける気はあるのか!?」
といきり立つ仁吾に対し、虎嶋はこう答えます。
「もう既に受けている。相手はこの私だ。そして君は敗れ、私の用意したこの覆面を被り、帝日のリングに上がるのだ。アマゾン川のピラニアを食い、ワニと格闘した、日系ブラジル人のマスクマンとして!」
かくして社長室にて繰り広げられることとなった仁吾と虎嶋の戦い。覆面レスラーにされるなどとんでもない、ましてや2年も前に引退した男に負けるわけがないと一気呵成に攻め込む仁吾。その仁吾の猛攻を涼しい顔で受け止め、仁吾の力・技術を遥かに凌駕するそれらを見せつける虎嶋。にもかかわらず、仁吾を一気に仕留めようとはせず、「あたかも何かを試しているかのように」仁吾の逆水平チョップを受けとめ、仁吾の胸板に自らの手刀を叩き込んでいきます。そして、仁吾が攻め疲れした頃合いを見計らっての伝家の宝刀・卍固め!!その強大なる力の前に敗れ去った仁吾は、覆面レスラー「アグネス仮面」として第二のレスラー人生を歩むこととなるのです。
その後、「道場破り対策本部係長」に就任させられ(それを機に、彼は帝日のレスラー達から『アグネス係長』と呼ばれるようになります。)、その就任後の初仕事として、道場破りである空手家との戦い、虎嶋の弟子・馬渕猛とのシングルマッチ(『アグネス仮面』としてのデビュー戦)、アグネス仮面の招待を怪しむ、現WWGP(帝日プロレスで最も権威のあるベルト)王者・ロイヤル金村との確執、虎嶋との二度目の戦い、虎嶋によって「作られた弟(笑)」マチルダ仮面の登場(このマチルダが毎度いい味出してます)。虎嶋との3度目の戦い、帝日マットにヒール(悪役)として乗り込んできたかつての大和プロレスの先輩達との確執(現時点では単行本未収録)といった様々な事件が仁吾=アグネス仮面に襲いかかります。果たして仁吾は大和プロレスの看板を取り戻し、大和プロレスを復興させることが出来るのか!?

「二十数年前、プロレス界は今ほどビジネスライクではありませんでした。レスラーもお客も、今よりずっといい加減でテキトーで、大雑把で大らかで、そして誰もが真剣でした(単行本第1巻6ページの文そのまま)。」という文章が示すとおり、出てくるキャラクターたちの殆どが、どこからマジでどこから冗談だかわからない人たちばかりです。特に主人公・仁吾の”天敵”マーベラス・虎嶋の言動には、登場人物たちだけでなく、読んでるこちらまで翻弄されてしまいます。が、はっきりと言えるのは、全ての登場人物たち(空手家やキックボクサー等は除く)が、「プロレスに並々ならぬ愛情を抱いている」ということが、ひしひしと伝わってくるということです。

ここ数年、K−1やヴァーリ・トゥードのブームに押されて、イマイチぱっとしないプロレス界ですが、私としては、この作品に登場するレスラー達のような、剛力にして豪胆、且つ、「プロレスへの愛に溢れた」レスラーの現実のマットへの登場を大いに期待しています。プロレス漫画ということで、勿論プロレスファンの人たちに読んで欲しいですが、それ以上に、「プロレスに興味がない人」、「プロレスを否定する人」、そして、「かつて、プロレスを愛していた人」にも是非読んで欲しい作品です。私もこれまで、プロレスを題材にした作品を少なからず読んできましたが、その中でもトップクラスの面白さだと思います。絵柄については好き嫌いが分かれるところだと思いますが、私はこの作品に登場するレスラー達の「猛獣」もしくは「猛禽」を思わせる「目」が大好きです。

とまぁ、ここまで書いといてナンですが、この作品、「短期連載⇔長期休載」というスパンでもう2年もやってるんですね。雑誌のほうを読んでて、「うおぉっ、面白くなってきたぁっ!!」と思ってたら、「第○部完 第△部は□□頃連載予定」とか書いてあって、その都度がっかりしちゃいます。ヒラマツ先生にも何か事情がおありのことと思いますが、もうちょっと休載期間が短いといいのになぁと…。「アグネス仮面」を愛する、一ファンの勝手な呟きです。

では最後に例によって、「極私的イメージキャスティング」で終わります。何人の人が理解してくれるかわかりませんが、「漫画・小説(学生時代は国語の教科書)を読んでると、頭の中にいろんな声優さんの声が自動的に聞こえてくる」というのはXnの病気みたいなものですので、温かく見守ってやってください。マーベラス・虎嶋の声に関しては「ご愛嬌」ということで(笑)。
では、また!!

以下、敬称略
山本仁吾(アグネス仮面)…檜山修之   マーベラス・虎嶋…春一番   安藤夫人…佐久間レイ
パグ阿久津…たてかべ和也   ロイヤル金村…鈴置博孝   馬淵猛…置鮎龍太郎
町田(マチルダ仮面)…子安武人   トニー・ジェイコブズ…西村知道   バリー・ジェイコブズ…郷里大輔
副島…大塚周夫   上原修平…高木渉   ジャイアント安藤…銀河万丈

 

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